【退職コラム】退職金の計算方法を具体例で解説

退職金は、退職後の生活を支える大切な資金の一つです。しかし、退職金の計算方法は会社ごとに異なり、詳細が分からず不安に感じる方も多いでしょう。本記事では、退職金の計算方法を具体例を交えながら詳しく解説します。


1. 退職金の基本的な仕組み

1.1 退職金とは

退職金は、従業員が長期間の勤務に対する感謝の意や、退職後の生活を支援するために企業が支給する金銭です。


1.2 支給の有無は会社次第

退職金の支給は法律で義務付けられているわけではなく、各企業の就業規則や退職金規定に基づいて決まります。したがって、退職金制度があるかどうかは事前に確認する必要があります。


2. 退職金の計算方法

退職金の計算方法は企業ごとに異なりますが、主に以下の3つの方式が採用されています:


2.1 基本給比例方式

退職時の基本給を基に計算される方法です。

計算式

退職金=基本給 × 勤続年数 × 支給率

具体例

  • 基本給:25万円
  • 勤続年数:10年
  • 支給率:0.5(50%)

計算 25万円 × 10年 × 0.5 = 125万円


2.2 勤続年数比例方式

勤続年数に応じた一定額を支給する方法です。

計算式

退職金=1年あたりの支給額 × 勤続年数

具体例

  • 1年あたりの支給額:10万円
  • 勤続年数:15年

計算 10万円 × 15年 = 150万円


2.3 ポイント方式

役職や勤続年数、評価などに基づいてポイントを付与し、ポイントに対する金額を計算する方法です。

計算式

退職金=ポイント数 × ポイント単価

具体例

  • ポイント数:200ポイント
  • ポイント単価:1ポイント=5,000円

計算 200ポイント × 5,000円 = 100万円


3. 退職金の税金計算

3.1 退職所得控除

退職金には「退職所得控除」が適用されるため、課税対象が大幅に軽減されます。

控除額

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数-20年)

具体例

  • 勤続年数:25年
  • 退職金:1,000万円

計算

  • 控除額:800万円 + 70万円 ×(25年-20年) = 1,150万円
  • 課税対象額:1,000万円(退職金)- 1,150万円(控除額) = 0円(非課税)

3.2 課税対象額がある場合

退職金が控除額を超える場合、超過額の1/2が課税対象となります。

具体例

  • 退職金:1,500万円
  • 勤続年数:30年
  • 控除額:800万円 + 70万円 ×(30年-20年) = 1,500万円

課税対象 1,500万円(退職金)- 1,500万円(控除額) = 0円(非課税)


4. 退職金制度の種類

4.1 確定給付型退職金(DB)

企業が事前に定めた金額を支給する仕組みです。計算式や支給額が事前に明確です。


4.2 確定拠出型退職金(DC)

従業員自身が運用する形で退職金を積み立てる方式です。運用結果に応じて支給額が変動します。


4.3 中小企業退職金共済(中退共)

中小企業が加入する退職金制度で、国が支援しています。退職金の支払いが安定しているのが特徴です。


5. 退職金に関する注意点

5.1 事前確認を徹底する

退職金制度がある場合は、就業規則や退職金規定を確認し、自分の支給額や条件を把握しましょう。


5.2 未払いのリスクに注意

退職金が支払われないトラブルも稀にあります。万が一支払われない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することを検討しましょう。


6. 実際の成功例

ケース1:計算を事前に確認して満額受け取れたAさん

Aさんは、退職前に就業規則を確認し、退職金の計算方法を把握。退職後に予想通りの金額を受け取ることができました。

ケース2:確定拠出型退職金を運用して増額

Bさんは確定拠出型退職金を運用し、退職金を予定額よりも20%増やすことに成功しました。


まとめ:退職金の計算方法を理解しよう

  1. 退職金の計算方式を把握する(基本給比例方式、勤続年数比例方式、ポイント方式)。
  2. 退職所得控除を活用し、税金負担を軽減する。
  3. 自分の会社の退職金規定を事前に確認する。

退職金の計算方法を理解することで、退職後の資金計画をスムーズに進めることができます。正確な情報を収集し、安心して退職の準備を進めましょう。

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